こんにちは、修繕の寅さんの富川でございます。
今回は、築80年以上のいぶし瓦葺きの屋根の葺き替え工事をご紹介いたします。
ご依頼頂いた内容は、下屋根の隅棟に取り付けていた隅鬼が落下したため、他にも危険な箇所がないかと、不安に感じられ、調査のご依頼を頂きました。
既存の屋根が古い和瓦葺きの場合、土葺き工法が用いられている事が多く、野地の不陸を葺き土などで調整しておりますが、葺き替え工事では野地の不陸を目立たなくするために、野地の不陸調整などを行います。
そして多少の不陸があっても屋根に馴染むアスファルトシングルのような柔らかくて、軽量の屋根材を修繕の寅さんではおすすめしております。
調査時、屋根の状態
写真のように所々、補修工事の跡や、いぶし瓦の経年劣化などが見られます。このような状況を考えると葺き替えの時期だと判断して、ご提案をさせて頂きました。また、谷樋には銅板を使用していましたので、酸性雨などの影響により所々穴が開いていました。
葺き替え工事手順
①捲り作業
写真のように土葺き工法のため、瓦を捲ると葺き土が多く置かれていましたが、雨漏れしている箇所の葺き土は風化して砂のような状態になっているため、瓦との接地面が少なくなり瓦がズレてくる可能性があります。また、瓦の製造が昔のため釘穴などが見当たらず、瓦を止めるための釘や銅線などが見当たりませんでした。その結果、全体的に瓦がズレた状態になっていました。
葺き土を捲ると、下葺き材にトントン(椹【さわら】の木を割いて作ったもの)を使用していますので、雨漏れが発生しても野地板まで到達しにくいので、雨漏りの箇所を発見するのに時間が掛かります。写真のようにトントンや野地板までも腐食していました。
②野地張り
新しく野地板を張る前に、27×60の木材を既存の垂木目掛けビスで留め付けます。これは、野地板を張るための下地になります。既存の野地が軒先に向かって垂れ下がっている場合(既存屋根材の重みが原因)など、この木材を取り付けることにより、軽微ではありますが垂れ下がりが戻りました。
野地板(針葉樹構造用合板12mm)を先ほどの下地材に、エアー釘打ち機を使用し、釘で止めます。野地板を千鳥張りにして強度を上げます。
③軒先水切の取付
④下葺き材の施工
ライナールーフィングを下葺きします。万が一屋根材の下に水が回った場合を考慮し、二次防水として施工します。
⑤ロアーニⅡ本体葺き
写真のように、ロアーニⅡ本体のプレセメント部分に釘を留めます。同資材仕上げになりますと、谷芯から200mm以上、反対側に被るように葺きあげます。
谷は同質納まりなので、一体感が出て綺麗な納まりとなりました。
⑥棟部の施工
写真のように棟材1枚に対し2本釘留めします。この上に次の棟材を重ねて葺きます。
こだわりのポイント
捲り作業中、既存の妻壁(漆喰塗り)が脱落しましたので、破風板の前面に下地を作り、その上からアスファルトシングル(リッジウェイ)を張りました。尚且つ、こういったダメージを受けている部分などをカバーすることにより、屋根全体の寿命が延びます。
二階部分の壁にあたるしぶき板がかなり劣化していたために、ここも下地を作成して、上からアスファルトシングル(リッジウェイ)を張り、防水処理をしました。これもまた寿命を延ばすための処置だと思います。
屋根葺き替え、工事費用
地域:大阪市東淀川区
屋根面積:約120㎡
仕様:和瓦土葺きから、ロアーニⅡ(木工事を含む)
費用:約220万円、※足場設置・解体費は含まず
まとめ
このように経年劣化した屋根は、近年の異常気象による台風などの災害が起きますと、様々な箇所に被害が出ると想定されます。また、2018年の台風21号による被害の屋根復旧作業がされていないブルーシートが掛かった屋根などが見られますが、放置していると二次被害が及ぶ可能性もあります。そのような事が起こらないためにも点検が必要になります。【修繕の寅さん】では無料診断を実施しておりますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
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富川徳次
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