お寺の屋根葺き替え工事が着々と進んでいます。
ここの現場は4/17~約2週間かけて足場をかけました。普通の住宅では足場掛けは大体1~2日ぐらいで組みあがります。
なんで2週間もかかるかというと、お寺の屋根の上にもう一個屋根を作るからです。
工事中の建物を雨から守る素屋根
建物を雨水から守っているのが屋根です。工事中はその屋根が無くなるので、雨水から守るモノが無くなってしまいます。
一般住宅では屋根材を撤去して、既存野地板の上に新しい野地板を重ね張りすることが多く、その場合はブルーシートを屋根面に貼って一時的に凌ぐ場合がほとんどです。葺き替え工事工期も短く1週間ぐらい。
でも、社寺仏閣ではそうはいきません。
野地板や垂木など屋根を構成する木材の状態にもよりますが、小屋組みからやりかえることが多いのです。野地板をめくって、垂木を撤去して、ほとんど屋根が無くなってしまします。そうなると雨水対策ができなくなってしまうので、既存の屋根の上に仮の屋根を作ってしまうのです。
それが『素屋根』と呼ばれるものです。
素屋根は規模が大きい屋根の葺き替え工事時や社寺仏閣など濡れたら困る時などに用いられます。
お寺で使用されている木材はとても大きく高価なモノで、柱や欄間などには煌びやかな装飾が施されていることも多く、絶対に濡らすわけにはいかないというわけです。
また、素屋根があることで、雨風から建築物守ることに加え、雨天時でも作業を中断する事なく施工出来ることも大きなメリットになります。
素屋根の中は作業がしやすいようになっています
素屋根の中はこんな感じになってます。
暗いと困るので、灯り取りとして透明のポリカを入れたり、鬼瓦際では正面から作業できるようにしたり、
作業しやすいように軒下の作業足場は広くとったり、
搬入・搬出しやすいようにスロープを作ったり。
いい仕事をするには設備の充実が大事|素屋根の重要性
素屋根を組むにはかなりの費用がかかります。2週間もかかるし、材料いっぱいいるし、工事期間中だけの屋根作るし…
でも、費用対効果は十分にあると思っています。
もし素屋根が無かったら、、、
もしかしたら養生不足で大事な高価なものを濡らしてしまうかもしれない。そんなことになれば損害も甚大だし、とっても迷惑をかけてしまう。
毎朝、屋根面養生のブルーシートをめくって、帰りにはまた養生しないといけない。大事な作業時間がとても減ってしまう。
雨が降ると作業ができないので、工程に影響が出てしまう。工期に間に合わないかもしれない。
などなど、、、
仮の設備にお金をかけるのはもったいないと思われがちですが、ここをしっかりとすることで結果的にお得になることも多いと思います。
なによりも、職人がいい仕事をするには絶対必要なことだと思います。
以上
渡邊智仁
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