昨日に引き続きお寺の本堂葺き替え工事のことを書きますね。
大阪の瓦屋4代目寅さんです。
無事に素屋根が組み終わり、古瓦のめくり下ろしを行いました。大量の瓦と土を職人総出でめくって下ろしました。
今回は瓦のリサイクルについてご紹介します。
お寺で不要になった瓦をそのまま処分していませんか?
実は瓦は再利用することができ以下のような様々なメリットが存在します。
・リサイクルするため環境に優しい
・処分費用や砂利の購入費用が不要になるコスト削減につながる
・伝統を違った形で受け継ぐことができる
古瓦をリサイクルすることでエクステリア(お庭など)に利用できる!
長年に渡って本堂を守ってきた瓦ちゃん達。普通は産廃として処分されてしまいます。
なんかもったいないですよね…
今の御時世処分にもお金がかかるし、頑張ってきた瓦が産廃になるのはなにか寂しい気がします。
しかも、お寺さんからしたら思い入れのある瓦達です。
ってことで、これらの瓦を処分するのではなく、加工して再利用しちゃうのです!!!
どこに利用するかっていうとお庭。エクステリアで使用します。
お寺のお庭(エクステリア)とはこんなイメージです。
実際にこれだけの砂利を購入するとなると、費用はかなりかかりますし、砂利は風化していきますので、なるべく費用を削減できる方が良いですよね。
実際に瓦をリサイクルしてみます
①まずは瓦を粉砕機にかけます。
↓
②小さく砕かれた瓦をふるいにかけてサイズ別に分けます。
③その結果、これぐらいのサイズになります。
④それらをお庭に敷き詰めるのです。サイズごとに粉砕できるため、ほぼ砂利と変わらない見た目になります。
庭や空き地によく砂利を敷き詰めていると思うのですが、砂利を買うにもお金がかかります。
だったら、瓦の処分費はいらないし、砂利の購入費もいらない方が絶対にいいですよね!しかもエコ!
※但し、瓦を粉砕するには粉砕機が必要で、その機械があるところまで運搬する費用がかかってきます。
現地で粉砕できればいいのですが、粉砕時には大きな音と大量の粉塵が出るので住宅地で行うことは厳しいのです。(戸建住宅程の大きさとなると、粉砕費や運搬費が高くついてしまい不向きです。)
今週末に粉砕場へ持って行って、来週には加工品が手に入るので、これらの古瓦がどのように生まれ変わったか御報告したいと思います。
鬼瓦もエクステリアで再利用しちゃいます
大事に大事に屋根からおろした鬼瓦達は一旦、鬼師(鬼瓦を手作業で作る人)の元へ送ります。
現在のデザインそのままに復元制作してもらう為。で、役目を終えた鬼瓦はまたお寺に戻ってきてエクステリアで再利用します。
瓦をリサイクルすることによってお寺の伝統を後世に残す
お庭のオブジェとして、また屋根葺き替えの記念品として代々引き継がれた鬼瓦を飾ります。
鬼瓦をオブジェとして生まれ変わったものを【鬼塚】と言います。
鬼塚の説明ブログ⇒『長年家を持っていた鬼瓦。鬼塚にすることで後世に残ります』
こうすることで、後世に残すことができるし、おしゃれなお庭ができあがるってわけですね。
以上
渡邊智仁
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