『屋根の「棟」とはどこを指すのか:棟の持つ役割や必要なメンテナンスを紹介』
屋根には「棟(むね)」という部分があることをご存知でしょうか。
知らない方も多い部分だと思いますが、屋根において非常に重要かつメンテナンスも必要な部分です。
この記事では、屋根の棟部分に関して役割やメンテナンスを紹介します。
棟(屋根棟)とは
屋根の最上部に位置する部分
屋根の最上部で屋根面同士が合わさった山型の部分を「棟(むね)」もしくは「大棟(おおむね)」と言います。
写真内の赤枠で囲まれている部分です。
細かい話をすると、棟には種類があり場所によって名称も異なります。
そのため厳密には屋根の最上部に位置する棟を「大棟」と言い、軒から斜め上に伸びる棟を「隅棟(すみむね)」、お寺や古民家などに軒から真上に伸びる棟を「降棟(くだりむね)」と言います。
しかし一般的に大棟を指して「棟」と呼ぶことが多いため、この記事内でも棟=大棟として記載しています。
屋根における棟の役割
機能面における役割
棟は屋根面同士の接合部分という最も雨漏りが起こりやすい部分を覆うことで、雨漏りのリスクを減らしています。
また屋根材を固定する役割や住宅内部の熱気や湿気を外に逃す「換気棟材」を取り付ける箇所でもあります。
住宅の経年劣化を遅らせ寿命を延ばすうえで、重要な働きをしている部分です。
外観における役割
瓦屋根においては特に、棟は外観印象を左右する部分です。
伝統ある日本建築として有名な瓦屋根にとって棟は、特有の風格を演出するうえで欠かせません。
昔は「棟を高く積むほど格式が高い」と言われたほどです。
また棟の両端には鬼瓦という特別な瓦が施工されています。
これには雨漏りを防ぐ役割のほかに、魔除けや厄除けという役割もあります。
名前の通り鬼の顔をしたものから波や雲の形など様々なデザインがあり、瓦屋根のデザイン性の高さを感じさせます。
このように棟は瓦屋根において、個性や価値観を反映させる重要な部分なのです。
棟にトラブルが起こる背景と影響
棟はトラブルの起こりやすい部分
棟は屋根の最上部にあるため雨風の影響を受けやすい部分です。
そのため経年劣化が進行しやすく、加えて自然災害時には突発的なトラブルが発生することもあります。
そのため自然災害の前後は特に注意が必要です。
棟の経年劣化と自然災害被害
棟の経年劣化事例は屋根材の種類によっても異なるものの、代表的なものとしては瓦屋根における葺き土、漆喰の劣化や板金屋根・スレート屋根における釘の浮きなどが挙げられます。
台風や地震などの自然災害発生時には、棟の歪みや破損が発生することもあります。
棟に経年劣化や突発的な自然災害によるトラブルが発生すると、内部に雨水が侵入してしまい最悪の場合雨漏りや下地(野地板)の腐食に発展する恐れがあります。
棟のメンテナンス
棟(屋根)の定期点検
棟に限らず、屋根は定期点検が欠かせません。
定期点検は5年に1回程度行うことが望ましいです。
特に台風が来る直前は点検を行い、劣化があれば事前に補修しておくことをおすすめします。
劣化したまま台風が直撃すれば当然トラブルリスクは上がります。
被害が出てからでは修繕の手間も費用も膨らむため、トラブルは予防することが最も大切です。
棟の経年劣化補修
定期点検の結果劣化が見つかれば適宜補修を行う必要があります。
目安として、瓦屋根の棟は10~20年に1回程度、板金屋根やスレート屋根の棟は7~10年に1回程度の補修が発生する可能性が高いです。
瓦屋根においては棟の積み直しや、漆喰の塗り直しなど、板金屋根やスレート屋根においては釘の打ち直しや棟板金の交換などが棟の補修事例として挙げられます。(写真は棟板金の釘が浮いている様子)
棟の積み替え工事
築年数が経過した屋根では、棟の経年劣化が進行し、補修では足りず、積み替え工事が必要となる可能性もあります。
棟の積み替え工事とは、既存の棟を撤去して新たに棟を積む工事です。
例えば瓦屋根の棟で大幅な歪みが発生してしまった場合や、葺き土が劣化し棟の勾配が緩くなってしまっている場合などは棟の積み替え工事が必要となります。
経年劣化が進行した住宅に大型台風が直撃した場合などにこういったトラブルが起こりやすいです。
まとめ
屋根において棟は非常に重要な部分です。
雨漏りを防ぐためだけでなく美観の維持にも大きな役割を持っています。
美しく安全な屋根を維持するためにも、棟は定期的にメンテナンスを行いましょう。
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